2023年7月 伊吹山登山道の大規模崩壊を考察する
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2023年7月12日、伊吹山登山道6合目付近で大規模な崩壊が発生した。登山道の復旧は期間を要することから、そのメドは立たっていない。今回の崩壊の直接要因は降雨であるが、十数年前からのニホンジカによる著しい食害や踏圧による土壌表土の弱体化が起因とされる。さらにもとをたどれば、地球温暖化や気候変動、人間活動をも含めた複合的な要因が自然環境変異に拍車をかけていることには違いない。 本レポートは、「山門水源の森」報告集 Vol.18. p.7-12.(2024.3.21発行)に掲載された藤本秀弘氏が著した「2023年「伊吹山と竜ヶ岳の斜面崩壊から山門水源の森を考える」ー地形地質とシカの食害の程度の違いによる山地崩壊ーから「2.伊吹山の崩壊」のページをそのまま原文・写真とともに抜粋し、藤本氏の許諾をもって掲載したものである。 ※関連データ「姉川地震と伊吹山の崩壊:藤本秀弘レポート」へリンク (筒井杏正) |
2023 年7月の豪雨で伊吹山の滋賀県側で土砂流出が発生した。(写真1↑ )
発生当時伊吹山に近い米原市朝日字尻屋の時間雨量は、22.5mm( 10分間降雨量22mm ) であった。この日以前の7 月1 日からの降雨量合計は、99 mmであった。 (写真2→) |
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今回の土砂流出は、直接要因としては降雨であるものの、長年にわたるシカの食害が起因している。伊吹山のシカの食害は言われて久しく、主要植生分布箇所には食害防止柵が設置されたものの、広範囲で食害が激化した。 (写真3↓・4↓) |
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(写真3)シカの食害が目立つ伊吹山( 2015/5 /14) |
(写真4)シカの食害進む伊吹山( 2023/7 /26 ) |
2023年の土砂流出現場の最上部( 写真5)を観ると、地表が貧弱ながら草本類に被われている部分A 、土壌が露出している部分B 、土壌が流出し露岩が露出している部分C とに区分できる。
今回の土砂流出( 写1↑・写真6↓)は、写真5→のB の土壌流出が広範囲に及んだ結果と考えられる。 (写真5)→ (写真6)↓ |
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この流出過程は、写真7(→) に見るようにAの部分がシカの採餌によって地表を被っている植生が欠如し土壌流出が始まる。
泥流が通過した部分はC のようになり、下流部では写真6(↑)のように泥流が地表を被った。 (写真7)→ |
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